目印のない墓地(葬送) — スウェーデンの葬儀、「進化形」の先にあるもの」に

目印のない墓地   先祖の墓をどうすればいいか。
厳しい寒さのなか、その姿は威厳に満ちていた photo : Talahashi Misako雪に覆われた大地に立つ高さ7メートルほどの石の十字架。雲一つない青空から太陽の光が降り注ぐ。3月28日午後1時半。スウェーデンの首都ストックホルム郊外にある公共墓地「スコーグスシュルコゴーデン」を訪ねた。時代を超えたデザインなどが評価されて世界遺産にも登録されている別名「森の墓地」。入り口からしばらく直進した先、なだらかな起伏の向こうに現れたモニュメントの神々しさに、息をのむ。背後に森が広がっていた。木漏れ日が、薄暗い土の上に点在する無数の墓石を照らす。キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教、ユダヤ教、仏。
目を疑った。そこにあるのは何の変哲もない、小高い丘。頂上へ続く小道の登り口に小さな標識が立っているだけだ。どこに祈ればいいかわからない。これまでに7万人以上の遺灰が埋葬され、この墓地で火葬される人の半数がここに入ることを望むという。だが、どうしても墓と思えなかった。

 

記事紹介

The Asahi Shimbun GLOBE より

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